「東洋医学」の定義とは?
「東洋医学」という言葉の意味は、文脈によって様々です。
「東洋」の範囲を調べると、トルコにあるボスポラス海峡(イスタンブール海峡)より東側の全域を指すこともあるようで、かなり広域です。
確かに、インドのアーユルヴェーダやタイ古式なども東洋医学の定義の内ですが、国内で一般に東洋医学という言葉を使う場合には、日・中・韓の伝統医学(「中国医学」「漢方医学」「韓医学」)を指す場合が多いと思います。
「漢方医学」とは、中国医学に起源をもち日本独自に発展を遂げた国内の伝統医学のことを指します。
中国では東洋とは日本を指すため、東洋医学は日本の伝統医学を指す言葉だそうですが、日本で東洋医学という言葉が使われ始めたのは昭和25年頃からのようです。
ちなみに「西洋医学」とは、一般には近現代の通常医療を指しますが、その起源は古代ギリシャのユナニ医学とされていて、このユナニ医学は東洋医学とも融合しているので、もしかすると根源は同じなのかもしれません。
現代医学と東洋医学
一般的な病院で提供される通常の医療以外の医療のことを「補完・代替医療」と言います。
通常の医療を補うか、代わりになる医療という意味です。
補完・代替医療には、小集団で行われている「民間療法」と、現代医学の到来以前は主流だった「伝統医学」があります。
アメリカやイギリスなどでは通常の医療システムにしっかりと組み込まれている補完・代替医療でも、日本では未だ「民間療法」と呼ばれてしまうこともあります。
「民間療法」というと科学的な根拠がなく、信仰的・呪術的なニュアンスが含まれるため、あまり適切な表現ではありません。
一方で鍼灸治療は伝統医学とされていますが、日本では現在多くの大学病院やクリニックが鍼灸治療を導入しています。
このように、現代医学と補完・代替医療を組み合わせたものを「統合医療」と呼びます。
統合医療は日本だけでなく、世界各国で実践されています。
東洋医学は、なぜ怪しい?
しかしながら、「東洋医学」というと何だか怪しいイメージがありますよね。
私も鍼灸を学び始めるまではあまり信用の置けないものの一つでした。
東洋医学は、治療術や食事療法だけでなく、風水や占いとも共通の考えに基づいていて、気の流れなどの何だか胡散臭い話と共に語られることが多いです。
鍼灸治療も確かに気の流れを良くする一種の気功術ともいうことができますが、現代の鍼灸治療は現代医学に基づいて行われる場合もあります。
前述の通りに、現在国内では多くの大学病院やクリニックが統合医療としての鍼灸治療を提供するようになりました。
そのため、現代の西洋医師との連携を円滑にするべく、現代医学に当てはめて応用されることも多いのです。
しかしながら、日本においての鍼灸師は国内で唯一の東洋医学の国家資格です。
現代医学だけでは手が届きずらい疾患や症状に東洋医学的なアプローチが功を奏することも少なくありません。
東洋医学と現代医学の統合は将来的にさらに進化を遂げ、より洗練された新しい医療の形を創っていくことを確信しています。