頭痛に対する現代医学的な鍼治療

頭痛

頭痛は、鍼治療の中で最も適正が高い疾患の一つです。

現代医学的な鍼治療によって頭痛の症状が改善する機序は、大きく二つあります。

それは、「血管の圧迫の解除」と「後頭神経の圧迫の解除」です。

頭痛は、肩こり、首こりや頭の筋肉のこりからくるものが多く、筋肉が硬くなると頭へ向けて走行している血管や神経をいじめてしまうのです。

 

1. 血管の圧迫の解除

 

首の筋肉の硬さが、頭部へ向けて走行している首の血管を圧迫すると起こるのが「筋緊張性頭痛(緊張型頭痛)」です。

筋肉の緊張による頭痛はさらに悪化すると、どくどくと脈を打つ拍動性の片頭痛になってしまうこともあります。

 

片頭痛は、緊張から解放されて副交感神経が優位になると、血流が良くなって、圧迫されている血管に無理やり血液が流れ込むことで症状が出ます。

平日に仕事で忙しく過ごして交感神経が優位の状態から、週末に入りリラックスして副交感神経が優位になると症状が出やすいことから「週末性頭痛」とも呼ばれます。

 

血管の圧迫が原因で起きる頭痛には、血管を圧迫している首の筋肉の硬さを鍼で優しく緩めていく治療が主体となります。

首には細かい筋肉が複雑に走行していて、圧迫の原因となっている硬い筋への局所的な治療に、鍼はとても有用です。

 

 

2. 後頭神経の圧迫の解除

 

 頭の付け根にあり、頭の重さを支えている後頭下筋群の一つである「下頭斜筋」という筋肉は、硬くなると大後頭神経や小後頭神経を圧迫して頭痛を引き起こします。

このような頭痛は「後頭神経痛」とも言われます。

下頭斜筋などの筋肉は体表から深い位置にあるので、鍼治療でないと適切な刺激が入りません。

このエリアへの鍼治療は、効果が高いだけでなく、治療を受けている患者様にとっても、鍼の刺激が心地良いポイントです。

 

当院での下頭斜筋への鍼治療法は、東大式鍼灸アプローチの治療メソッドを採用しております。

 

 

東洋医学的な頭痛の種類

当院での頭痛治療は、血流や神経に対する西洋医学的な治療だけでなく、東洋医学的な見方も参考にして、身体全身から頭痛を治療し根本的な治癒を目指します。

 

東洋医学的に代表的な6パターンの頭痛を説明します。

 

1. 太陽経頭痛

 

 全身疲労が原因で起こりやすい頭痛です。

 

「太陽」とは東洋医学では、身体の後ろ側を指し、後頭部に痛みを出すタイプの頭痛を「太陽経頭痛」と呼びます。

 

身体の後ろ側、つまり腰や背中の筋肉の異常な緊張が頭痛の根本的な原因の場合も多いため、頭部と併せて腰や背中を治療すると効果的です。

 

 

2. 陽明経頭痛

 

消化器系が弱い方に起こりやすい頭痛です。

「陽明」とは東洋医学では、身体の前側を指し、額を含む前頭部に痛みを出すタイプの頭痛を「陽明経頭痛」と呼びます。

 

臓器の中で、胃と大腸はこの「陽明」と関係が強いとされ、胃腸が弱い方に多いタイプの頭痛です。そのため頭部だけでなく胃の経絡が走るスネの筋肉や、大腸の経絡が走る腕の筋肉と併せて治療すると効果的です。

 

 

3. 少陽経頭痛

 

 目の疲れにともなって起こりやすい頭痛です。

 

 「少陽」とは東洋医学では、身体の横側を指し、コメカミや側頭部に痛みを出すタイプの頭痛を「少陽経頭痛」と呼びます。

 

少陽経頭痛は、側頭筋の緊張を起こす眼精疲労が関与している場合が多く見られます。

 

眼精疲労を取り除くために、眼球運動の際に外眼筋と共同して働く「後頭下筋群」の硬さを緩めると、側頭部の頭痛が軽快します。

 

そして、後頭下筋群は細かい筋肉が複雑に走行しているため、鍼を使ってピンポイントに筋肉を治療するのが効果的です。

 

 

4. 太陰経頭痛

 

姿勢の悪さが原因で起こる頭痛です。

 

「太陰」は、肺の臓器を統括しています。

猫背や肩の過剰な内巻きなどの不良姿勢により胸郭が狭められると、肺に負担がかかりこのタイプの頭痛に繋がります。

 

胸郭に圧迫されて苦しんでいる肺を思わせるように、頭部を包み込むような痛みを出します。

 

不良姿勢が原因の場合が多いので、症状が出ている部位への鍼治療だけでなく、骨格の調整も必要です。

 

鍼治療と平行して骨格を調整することが出来るのは、当院ならではです。

 

5. 少陰経頭痛

 

 更年期障害にみられるのは頭痛は、このタイプです

 「少陰」は、の臓器を統括しています。

東洋医学では「火」「水」を司るため、このタイプの頭痛は、「火」と「水」のバランスが崩れて発症すると言われています。

身体の中で火と水が争って暴れているため、頭部が内側から突きあげられるような痛みを出すのが特徴です。

 

身体の中で「水」が優勢の時には身体が冷えるため、灸治療で温めるのが効果的で、「火」が優勢の時には身体がほてるため、鍼治療で熱を逃がすのが効果的です。

 

 

6. 厥陰経頭痛

 

「厥陰」は、の臓器を統括しています。

 

肝は、精神的なストレスお酒の飲み過ぎなどで働きが過剰になってしまいます。

 

 厥陰経頭痛は、肝の働きが過剰になると、肝が熱を余分に産生して、体内に熱がこもることで起きる頭痛です。

肝が作り出す熱は「肝火」と呼ばれ、身体の中を上昇する性質があり、最終的に頭頂部まで上昇して滞留することで痛みを出します。

 

この状態を東洋医学では「肝火上炎」と呼びます。鍼治療によって、頭頂部の熱を外に逃がす治療をすると改善します。

 

 

東洋医学的な頭痛のまとめ

 

東洋医学的に代表的な6パターンの頭痛は、関係する経絡がそれぞれの頭痛で異なり、それぞれの経絡は、身体の広い範囲を走行しています。「足の三陽経」と呼ばれる3つの経絡は、頭部から足先まで走行しています。

 

つまり、経絡を使った鍼治療は、身体の様々な場所から頭痛を改善できるのです。

 

頭痛は首の筋肉の硬さだけではなく、背中や腰の硬さや消化器の不調、不良姿勢、精神的なストレス、お酒の飲み過ぎなどでも起こる可能性があります。

 

頭痛は日常生活への影響が強く、慢性化しやすい症状の一つです。

 

是非お早めにご相談ください。