灸師 中川 照久 2020/5/25更新 

 

不眠症

入眠に時間がかかる。

眠りが浅く、夢ばかり見る。

途中ですぐ起きてしまう。

目覚めが悪い。

寝ても疲れが取れない。

不眠症の種類

1. 入眠困難

眠りに落ちるまでに、30分~1時間以上を要してしまう状態です。最も多いタイプの不眠症です。日中の活動量が少なかったり、体内時計のサイクルの乱調で発生します。また、脳の過度な疲労によって体のオン/オフがうまく切り替わらなくなっている場合も多いです。

 

2. 熟睡困難

睡眠時間は、十分だと思われるにも関わらず日中の眠気が気になったり、体の疲れが取れず寝た気がしない、などといった状態です。眠りにつけたとしても、脳が興奮していると睡眠の質が著しく低下してしまいます。人によって適切な睡眠時間は異なるので、日中に支障があれば立派な睡眠障害です。

 

3. 睡眠維持困難

睡眠中に何度も目覚めてしまったり、いったん目を覚ましてしまうと再び眠りに落ちるまでに時間を要してしまう状態です。高齢者に多い睡眠障害です。睡眠の質も低下しやすい状態です。夜中にトイレに何度も起きてしまうという方も少なくありませんが、生活に支障がなければ特に問題ありません。

 

4. 早朝覚醒

年齢を重ねるごとに、体内時計が早い時間にずれてきてしまいます。ですので、ある程度の年齢になると朝早く起床してしまい、そこから再び眠ることが困難になってしまう方も多くなります。あまりに早朝に目覚めてしまい、疲労が十分に取れていない場合や日中に眠くたってしまう方はこのタイプの睡眠障害です。

 

不眠症の原因

日常的に緊張する場面が多かったり、時間に追われて忙しく活動されている方ほど、脳の興奮を上手く鎮めることが出来ず、睡眠の質が悪くなりがちです。

脳の興奮状態が持続すると、身体の筋肉も緊張してしまいます。

逆に、身体の緊張状態が持続しても脳が休息できなくなり、負のスパイラルが完成してしまいます。

この負のスパイラルを断ち切るためには、筋肉の緊張を取ることが不可欠なのです。

 

特に、首や頭部の筋肉の硬さは、精神的なリラックスを強く妨げます。また、足の冷えや呼吸の浅さも不眠の大きな要因の一つになってしまいます。

そこで、筋肉の緊張を取り、冷えを解消し、深い呼吸を作り出すことが出来る鍼灸治療が、あなたの辛い不眠症の解消に一役を担ってくれるのです。

日本国民の約20%、つまり約5人に1人が睡眠に何らかの障害を抱えていると言われています。不眠症は、国民病とも言えるのです。

日々、仕事や学業、家事などに追われていると交感神経系の働きが異常に高まり、効率的な休息が取れなくなってしまっている方が非常に多いのです。

日本人特有の生真面目さが一つの要因になっているのかもしれませんね。そんなストレス社会を生き抜くうえで、鍼灸治療は大きな助けとなることは間違いありません。

 

 

 

不眠症を鍼灸治療で克服する3つのポイント

1. 「後頭下筋群」の緊張を取る。

2. かかと」の冷えを取る。

3. 「横隔膜」の緊張を取り、呼吸を深める。

 

 

1.  「後頭下筋群」の緊張を取る

 

 「後頭下筋群」とは・・・?

首や背中の筋肉は、私たちの頭や背骨を日々支えているので、姿勢が特に悪くない方でも凝り固まって、不眠の原因となります。

 

例えば、私たちの頭を支えている「後頭下筋群」と言われる頭の付け根にある筋肉群の凝りを取るには、はり治療が大変効果的です。

 

この後頭下筋群は、眼球を動かす外眼筋とも連動すると言われており、眼精疲労の影響も如実に受けると言われていて、不眠の方のほとんどが硬くなっています。

 

後頭下筋群は細かい筋肉が集まって構成されているので、一つひとつの筋肉を丁寧に緩めるには、ピンポイントに施術ができるはり治療が有用です。

 

特にはり治療でなくては刺激ができない深部の筋肉に対して有効です。

 

後頭下筋群の中でも「下頭斜筋」を緩めると、後頭部を支配する神経の開放につながるため、強い精神安寧の効果があり、不眠症の解決に直結します。

 

2.「かかと」の冷えを取る

 足のかかとを温める「失眠」という名穴

足の冷えに関しては、特にかかとを適切に温めることが効果的です。

人間の身体の中でもかかとは、細胞の代謝が鈍く大変に冷えやすい部位と言えます。

このかかとを温め、睡眠の質を高める効果のある代表的なツボとして「失眠」があります。

失眠はかかとの中央に位置するツボで、このポイントへのお灸による温熱刺激は、とても効果的です。

かかとは皮膚が厚いために市販のお灸だと熱が十分に通らないことが多いです。

そのため、一人一人に合わせた熱量の灸を灸師がその場で作成して治療します

 

失眠

 

 

3. 「横隔膜」の緊張を取り、呼吸を深める

 呼吸を司る「横隔膜」という筋肉の緊張を取る。

 

呼吸と関りが深い横隔膜の緊張を取ることで、深い呼吸を可能にして、身体のリラックス状態をつくり、不眠を改善します。

横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てる筋肉の膜です。

 

食肉で言うところの「ハラミ」に当たります。

この筋肉が伸縮することで、肺が酸素を取り込むことができます。

横隔膜の緊張を取るには、鍼治療が有用です。

 

手技でも横隔膜に対する治療法は数多くありますが、その多くは体の前側からの治療法です。

 

しかし、はり治療では体の前側からだけではなく、体の側面や後面からも横隔膜を治療します。

 

横隔膜は体腔内の全周に付着するので、多くのポイントからの治療は、より効果的に横隔膜の緊張を取り、呼吸を深めることで不眠を解消します。