鍼灸師 中川 照久

2021/1/6更新

「ホンモノ」に触れる重要性

美術館

高校在学中、美術の授業を担当して頂いていた先生がよくおっしゃっていた言葉をよく覚えています。

「良い作品を作るためには、良い作品をたくさん知らなくてはならない。」

一流の作品には表現がまるで違っていたとしても、共通している「力」のようなものがあるのです。

私はこの時、良いものに触れることの重要性を知りました。

料理人やバーテンダーは、勉強のために沢山の一流のお店に足を運ぶそうです。

しかしながら、治療家はあまり治療院巡りをしません。

これには様々な理由が考えられますが、自分とは全く異なる治療法や治療哲学を持っている先生の治療院に積極的に足を向けてみることは、治療家としてこの上ない学びを得られるチャンスになると私は確信しています。

私は、10代の頃から様々な治療院を巡ってきました。

もちろんこれは、趣味と実益を兼ねてのことですが、なにより自身の治療の追求に役立っています。

しかしながら、10年以上治療家として臨床に立ち、それ以上の年月をかけて数々の治療院を巡ってきた私でも未だに治療院選びは難しいと感じます。

治療院は数あれど、その程度はピンキリです。一般の方がまっとうな治療院に出会う確率は極めて低いというのが実状です。

フレンドリーで優しい先生はたくさんいらっしゃいますが、そこに実力が伴っていなければ通院する意味がありません。

もし、あなたが何らかの症状を抱え、治療院を探しているのであれば是非この記事を参考にしていただければ幸いです。

 

そもそも、治療院とは?

骨格模型

治療院とは一般に、病院以外で治療を行う施設のことを指します。

治療院には、整骨院・接骨院・あん摩マッサージ指圧院・鍼灸院・カイロプラクティック治療院・整体院など様々な種類がありますが、症状や身体の状態、好みによって使い分ける必要があります。

大きく分けると、整骨院・接骨院・あん摩マッサージ指圧院・鍼灸院は国家資格を持った先生が治療している施設です。それ以外の整体院などは無資格でも開業することが可能ですが、国家資格を持った先生が整体院という屋号で開業している場合もあります。

治療院の種類については下記のリンクで詳しく説明しています。

【→治療院の種類について詳しく

 

「整骨院」とは?

整骨院

整骨院と接骨院は、全く同じ施設の名称です。

整骨院・接骨院は、柔道整復師という国家資格を持った先生が捻挫・打撲・挫傷などの急性のケガの治療を行う施設です。

また、医師の同意があれば骨折・不全骨折・脱臼も取り扱うことができます。(ただし、応急手当としての初回1日だけは医師の同意なく処置できます。)

しかし、整骨院・接骨院では病院と違いレントゲンなどで画像診断ができないので、どうしても整骨院でケガの治療を受けたい場合は、一度整形外科を受診した後に治療を整骨院で行うという流れがお勧めです。

整骨院は街なかに沢山ありますが、どのような治療をしてくれるのかは院によって全く違います。

 

まず、治療料金が整骨院ごとに全く違います。

整骨院というと健康保険を取り扱っていることが多いですが、完全に保険の負担額のみで治療してくれる整骨院は都内ではまれです。

保険の負担額に加えて実費の料金を請求する整骨院がほとんどで、なかには完全実費の治療院より高い治療費を設定している整骨院も現在では珍しくありません。

ですので、保険が効くから安価で済むと思っていたのに、結局は実費の料金もかさんで保険が効かない治療院と変わらない金額になることもあるのです。

そもそも、整骨院で健康保険が適応されるのは、捻挫・打撲・挫傷などの急性のケガに限られますが、明らかにケガではないものにまで健康保険を適応させてしまう整骨院も少なくありません。

本来はケガの治療を専門とするはずの整骨院の実際は、「保険が効くマッサージ屋さん」であることも珍しくないのです。

 

また、規模の大きな整骨院では、複数の先生が治療を担当するので、治療者によって大なり小なり技術差があります。

整骨院では「柔道整復師(じゅうどうせいふくし)」という国家資格を持った先生が働いていますが、鍼灸マッサージ院も併設されている場合も多いため、鍼灸師や按摩マッサージ指圧師の先生が在籍していることもあります。

さらに言えば、治療の助手という名目で無資格者や学生が施術を行っている整骨院もあるようです。

整骨院を訪れた際は是非、担当の先生に「先生は柔道整復師ですか?」と質問してみて下さい。

そうでない場合も少なくないと思います。

 

参考:特集 THE DATA
厚労省「平成30年衛生行政報告例」から読み解く未来
接骨院数の増加と療養費収入の低下が続く

 

慢性症状は自費の治療院へ

保険・実費

一般的な肩こりや腰痛などの慢性症状は、姿勢や生活習慣、元々の体質たどいくつもの要因が絡み合って症状を完成させているので、身体全体を包括的に診てくれる治療院をお勧めします。

 

あん摩マッサージ指圧院や鍼灸院も健康保険が使用できる場合もありますが、全身を多面的に治療するには保険の範囲内では難しい場合が多いです。

 

自費の治療院はそれこそ星の数ほどあるので、その見極め方をお伝えしようと思います。

 

良い治療院の4つの条件

1. 休診日が「日曜・祝日」

休診日

良い治療院が休みを取る曜日は、「日曜」と「祝祭日」です。

これは最低条件として、ウェブページの情報などで最初にチェックしましょう。

もちろん、治療院の休診日は、立地によって決まっている場合も多いです。

オフィス街にある治療院は週末に休んで、歓楽地や副都心部にある治療院は平日に休むなど、治療院の立地環境によって休診日が決まっているケースが多いです。

しかしながら、一流の治療院は遠方からも一定数の患者さんが通院しているため、立地環境に依存しない場合もあるのです。

 

治療家の勉強会や学会、セミナーなどは、ほとんどの場合日曜か祝日に行われるため、定期的に他の治療家と研鑽を積んでるような先生方は、日・祝に休診日を設定しています。

 

日曜・祝日に来院しやすい患者さんも大勢いらっしゃるでしょう。

 

しかし、治療家は治療をライフワークとして一生涯に亘って全力で学び続けることこそが、患者さんにとって一番の利益になるのです。

 

自身の限界を問い続け、常にこの世で最高の治療を提供したいという想いこそが、一流の治療家の証です。

 

どの業界でもそうですが、もう学ぶ必要がないと思われるような人ほど貪欲に学習を継続されていますよね。私もぜひ見習いたいものです。

 

2. 治療院の「長」が一目で分かる

リーダー

複数の院を展開している整骨院や整体院の治療院グループでは、十分な臨床の経験を積んでいない治療家が院の責任者をしている場合も少なくありません。

そのような院では、院内を見渡しても誰が院長なのかが分からない場合が多いです。

 

これもウェブページでチェックできれば事前に確認できますが、治療院によってはウェブページに施術者の紹介が無かったり、老舗の院ではウェブページ自体が存在しない場合もあり得るので、その場合は実際に来院して確認するしかありません。

また、オープンスペースにベッドが並んでいてカーテンレールのみで仕切られている院はお勧めできません。

患者さんにプライベートな内容まで深く問診することを想定していれば、治療院をそのような環境に設計するはずがないからです。

 

身体と精神は表裏一体です。患者さんの心までしっかり見てくれる治療院を探しましょう。

 

3. 受付専用スタッフがいる

受付スタッフ

治療院以外でもそうですが、クライアントと治療院の最初の接触は、電話での予約の瞬間であることが多いです。

最近は、ネット予約可能な治療院も多いですが、治療院マニアの中川は、治療院との第一接触も重んじるため、必ず電話で予約します。

少し話が逸れますが、人気も実力も兼ね備えているような院ほど戸口が狭いものです。

ネット予約は今や多くの医療機関でも導入しており珍しいものではありませんが、一流の治療院というのもは、院にたどり着くまでが一種のイニシエーション(通過儀礼)になっているので、電話予約しか受け付けない所も多いのです。

電話での予約時のチェックポイントは、電話対応の良し悪しよりも、受付専門のスタッフがいるか、いないかを見極めましょう。

 

患者ファーストの治療院には、必ず受付のスタッフがいるものです。

 

例え治療する先生が一人だけの治療院でも繁盛院では、受付のスタッフがいます。

 

繁盛しているから、腕が良いとは限りませんが、一つの大きな指標になります。

 

また、受付スタッフを配置するというのは、人件費を割いてでも、患者様にとって快適な環境を作ろうという経営者の想いの強さでもあります。

 

4. トイレに設置されている鏡が大きい

トイレ

少し変わったチェックポイントですが、来院時には必ず確認してみましょう。

意識の高い治療院はトイレが綺麗というのは言うまでもないことですが、一流の院であればあるほどトイレの鏡は大きいのです。

おしゃれな小さい鏡をトイレに設置するほど、自己満足的な院であることが多いです。

トイレに大きい鏡を設置するということは、当然トイレ自体のスペースが広いというのが絶対条件になります。

トイレのスペースが広いという事は、そもそもテナント自体が広い、もしくは良質なテナントです。

スケルトンの状態からテナントを借りたのだとしたら、トイレの広さの重要性を知っている卓越した経営者と言えます。

治療院を経営されている方はご存じだと思いますが、治療ベッドをいかに効率的に置けるかというのは治療院経営上、大事なポイントです。

その効率性を割くというのは、経営的に中々できることではありません。

そのリスクを取っても大きいトイレスペースでなおかつ、壁いっぱいの鏡

これぞ一流の治療院です。

 

ちなみに付け加えれば、大きい鏡はメンテナンス面でも大変です。

 

鏡の掃除は思いのほか技術がいるし、なかなか骨の折れる作業なのです。

 

担当の先生もチェックしよう!

整体師

以上の四つの項目で治療院をチェックできたら、担当の先生も見極めましょう。もちろん、フィーリングでも構いません。

どんなに評判が良い有名な先生であっても、結局自身にとって最良の治療家であることが大切です。

もし、私がチェックするとしたら、治療をしてくれる先生の休日の予定を聞いてみます。

月並みな答えが返ってくる場合は論外ですが、つまらない先生ほど

「本読んで勉強しています。」とか

「セミナー(学会)に出る予定です。」のような模範的な答えが返ってきます。

治療家は、プライベートでも常に勉強しているのは、最低限の条件なので、そのことについてあえて言及してくる先生は、大した勉強をしていない場合が多いです。

勉強している自分に浸っている人ほど、学びを吸収できていないものなのです。

 

一流の治療家は、頭だけではなく、足を使って自分の世界を無限に拡げようとします。

 

例えば、自分の行ったことのない土地に行ってみたり、自分のやったことのないことに挑戦してみたり、時にはあまり普通の人がやらないような趣味を持っていたりすることが多いです。

 

一流の治療家は、どのような物事からも貪欲に学びを得て、治療に活かし患者さんに還元することができます。

 

言い換えれば、どんなことにでも興味を持って取り組める人は、一流の治療家の素養を備えてると言えます。

 

また、オーナー治療家はとんでもなく多忙なので、相当タイムマネージメントが上手くないと、仕事に直接的に関与しないことに時間を割くことができません。

仕事以外の物事にも割く時間と体力と気力を持っているのも、良い治療家たる条件です。

あなたにとって、より良い治療院が見つかることを祈念いたします。

 

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