良性発作性頭位めまい症とは?
良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい症と読みます。
頭の向きを変えたり、起き上がる際にぐるぐる回る回転性のめまいを発症しますが、安静にすると症状が治まります。
めまいの継続時間は10~20秒と比較的短いのが特徴です。
良性発作性頭位めまい症の原因は?
良性発作性頭位めまい症は、加齢や頭のケガ、耳の奥にある内耳の血流の悪さにより、耳石が三半規管に入り込んでしまうことで発症します。
耳石が、頭の傾きに合わせて動くことで私たちは「傾き」の感覚を感じます。
この耳石は、常に新しいものに入れ替わりますが、その際に耳石のカスのようなものが誤って三半規管に入り込んでしまうことがあるのです。
視界がぐるぐる回ってしまう回転性のめまいは、メニエール病と同じで耳が原因で起こるめまいです。しかし、良性発作性頭位めまい症はメニエール病とは異なり、耳鳴りや難聴は伴いません。
耳が原因のめまいの約60%以上がこの良性発作性頭位めまい症だと言われています。
長時間にわたって同一姿勢でいることが長い方ほど、このめまいを発症しやすいと言われています。
ですので、デスクワーカーや寝返りが少ない方、低すぎる枕で寝ている方などは、このめまいの発症リスクが高いと考えられます。
良性発作性頭位めまい症の鍼灸治療
良性発作性頭位めまい症に対しての鍼灸治療は、耳の奥にある内耳という場所の細胞の代謝を正常化するために血流の促進を目指します。
主には、後頭下筋群と呼ばれる後頭部の筋肉や耳に関連の深い側頭部の筋肉の硬さを緩和する治療をしていきます。
前頭筋と後頭筋を連絡する帽状腱膜の硬さや顎関節の硬さもめまいに関連します。
前頭頂部付近を押してみて圧痛があったり、頭皮がむくんでブヨブヨした感じなどが確認できる場合は要注意です。
顎関節が硬い方は、全身が緊張傾向にある方がほとんどです。顎関節は頭部における唯一の関節ですので、頭部のコンディションに及ぼす影響は多大です。顎関節を緩めるには、顔の筋肉である表情筋を緩めることが不可欠です。この表情筋は、非常に細かい筋肉が複雑に走行しているため、手技の治療よりも鍼を使った治療が効果的です。
また、鍼灸学的な観点では、肝臓に関連する経絡がめまいに深く関係するため、足の親指から上腹部にかけて走行する肝経(肝臓の経脈)からもめまいを治療することも可能です。
鍼灸治療は、局所に限定して治療を行うのではなく、身体全身を評価して治療を行うので、対症療法ではなく体質から根本的に改善していくことができるのです。