鍼灸師 中川 照久 2021/1/26更新
ぎっくり腰には鍼灸治療
✔ 朝、起きたら腰を違えていた
✔ くしゃみやせきの拍子に腰に電撃が走った
✔ ものを持ち上げようとした時
✔ 腰を大きくひねった時
✔ 呑み過ぎ・食べ過ぎの翌朝に
✔ 湿度が高い日は特に注意
✔ 今までの疲労の蓄積が臨界点をむかえた
ぎっくり腰に効く鍼灸
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰は、急性腰痛の一つです。
急性腰痛は、急に発症し激しい痛みを伴います。
痛みを発している部位は、椎間板、椎間関節、仙腸関節、筋・筋膜など様々な可能性があります。
放置してしまうと、なかなか痛みが治まらないどころか、慢性的な痛みに移行してしまう場合もあります。
なぜ、ぎっくり腰に鍼が効くのか?
ぎっくり腰の治療は、過剰に緊張している筋肉を緩めることで痛みを緩和します。
しかし、発症直後は強い痛みがあるため、患部に対してマッサージで揉みほぐしたり、手技で腰周辺の関節を動かしたりする治療は困難です。
一方で、鍼灸治療では患部に不必要な刺激を与えることなく筋肉を効率的に緩めることが可能です。
特に、鍼による治療では筋肉を緩めるだけでなく、エンドルフィンによる鎮痛効果も期待できます。
鍼灸治療は元来、ケガの治療に使われていた歴史があるため、急性の症状に対しての治療技術が確立されているのです。
ぎっくり腰の治療点(ツボ)
委中(いちゅう)
委中(いちゅう)は、腰痛治療の代表的な治療点(ツボ)の一つです。
膝裏の横じわの中央にあります。指圧すると痛みを伴うポイントです。
セルフで押してみたい方は、膝を曲げた状態で両手の親指を使うと押しやすいかもしれません。
腰から少し離れた場所にあるため、腰部に対する治療効果を不思議に思う方もいるかと思います。
鍼や灸は物理的な刺激だけでなく、感覚神経に働きかけることで治療効果を生み出すため、感覚が鋭い抹消に近い部位の方が効果的であることも多いのです。
ツボにも役職のようなものがあり、上層のポストにあるツボは、ほとんど四肢末端に位置します。
ちなみに、この委中というツボは「四総穴(しそうけつ)」と呼ばれ、言わばツボの四天王のようなものです。
金門(きんもん)
金門(きんもん)は、急性腰痛に対して頻繁に使われるツボです。
足の外側にある骨のでっぱりの後ろにあります。
「金」のように価値のある重要な「門」という意味の名前を冠しています。
この「門」という字のついているツボはいくつかありますが、その意味は「気」が出入りする所という意味です。
東洋医学的にはツボは「気」を調節する療法ですので、「気」が出入りする場所というのはツボの中でも極めて大事な治療点なのです。
この金門は、鍼でも灸でも指圧しても効果的なポイントです。
薬局などで市販されている「せんねん灸」などを据えてもセルフケアとしては有効です。
解剖学的にもこのポイントは、下腿の外側にある長腓骨筋という筋肉の腱が骨に付着する部分でもあります。
長腓骨筋の過剰な緊張は、腰の負担になりますので、この筋肉に対する刺激が腰痛に効果的であることは現代医学的にも理にかなっているのです。
腰腿点(ようたいてん)
腰腿点(ようたいてん)は、手の甲にある腰のツボです。
中手骨(ちゅうしゅこつ)とよばれる手の骨の間に2か所づつあります。
下にある骨のイラストもご参照下さい。
腰痛の治療点が手にあるのを意外に思う方もいるかもしれません。
しかし、手の筋肉の緊張は姿勢に大きいな影響を与え、腰の負担になりうるのです。
この腰腿点が硬くなると、上半身が前傾になり腰痛を引き起こします。
腰痛に至っていない方でも、このポイントを指圧されると痛みを感じる方も多いと思います。
実際の治療では、このツボには鍼を使うことが多いです。
この腰腿点は「奇穴(きけつ)」といって、奇妙な穴(ツボ)という意味です。
一般にツボは、経脈(けいみゃく)という「気」の流れの走行上にあるものですが、この奇穴は経脈と無関係に存在するので奇妙ということです。
奇穴は「特効穴(とっこうけつ)」とも呼ばれ、特定の疾患に対して特別な効果があるツボなのです。
この腰腿点は、ぎっくり腰などの急性の腰痛に対して特に有効です。
ぎっくり腰の対処法
ぎっくり腰になってから48時間は、炎症物質が出ているので強い痛みが続きます。
過度な炎症は、腰の回復を妨げてしまうので、2~3日はアイスパックなどで患部を冷却しましょう。
ぎっくり腰はケガに近い状態なので、コルセットなどで固定するのも有効な場合もあります。
ぎっくり腰はできるだけ早く治療を施すことで、早期回復が見込めます。
速やかに治療院などの専門機関を受診しましょう。
足に痺れや脱力感がある場合
足のしびれや脱力感などがある場合は、腰椎椎間板ヘルニアや中年以降では腰部脊柱管狭窄症の可能性もあります。