灸師 中川 照久 2020/5/25更新 

 

中耳とは?

中耳は、鼓膜から内耳へ音を伝える器官です。
中耳は「1. 中耳腔」「2. 耳管」「3. 耳小骨」からなります。

 

1. 中耳腔(ちゅうじくう)
中耳腔とは、「鼓室」とも呼ばれ、鼓膜の奥の中の空間のことです。
中耳腔の壁は、粘膜で覆われています。

 

2. 耳管
耳管は、中耳腔と鼻腔(鼻の奥)をつないでいる管で、中耳腔内の圧力を調節する働きがあります。
耳管の内側には、「線毛(せんもう)」と呼ばれる毛があり、ゴミや細菌が中耳腔に侵入するのを妨げる働きがあります。
エウスタキオ管、ユースタキー管とも呼ばれます。

 

3. 耳小骨
耳小骨は、鼓膜の振動を増幅させて、内耳という音を感じ取る器官に伝える小さな骨組織です。
耳小骨は、「つち骨」「きぬた骨」「あぶみ骨」の三種類あり、この中の「あぶみ骨」は人体の中で最小の骨と言われています。

 

中耳炎の原因は?

中耳炎は、「耳管」を経由して「中耳腔」へ細菌などが侵入することで発症します。
風邪に伴って発症したり、慣習的に鼻をすすっていると、中耳腔へ細菌などを吸い込みやすくなってしまいます。
また、耳管が短く水平に近い10歳以下の小児に起こりやすいとされます。

 

中耳炎の鍼灸治療

症状が出ている場所を直接刺激しなくても、遠隔から治療することが可能なことが鍼灸治療の優れた点の一つです。
中耳は、鼓膜の中にあるため、直接的な処置が困難な部位です。
鍼灸治療では、顔や首、頭皮などの比較的耳に近い部位だけでなく、足や手などの耳から離れた部位からも中耳炎を治療することができます。